第一線で活躍している方に今感じていること、思考していること
などなどをインタビュー形式でお話いただくコーナーです。
森下 マリッジリングをうちで選んでいただいて、
その時にリメイクのお話とかも頂きまして。
濱野 私が結婚するにあたり、母が三姉妹の末っ子で、
上にお姉さんが二人いるんです。その真ん中の叔母が子供がいないんです。
姉妹みんながお揃いのこれ(ダイアのリング)を持っていたのですけど、
その叔母は残す人が居ないので・・・
それで、私が(嫁に行ってない)最後の女子だったので
森下 それはラッキー
濱野 そう(笑)みんな親のをもらったりしてるじゃないですか。
なので、私にくれたんですよ指輪を。ただもう縦爪のクラシカルなリングだったので・・・
森下 特別に大きなダイアモンドでしたね。
私たちも見ることがないような大きいダイアだったんですよね
濱野 それがさらに縦爪で、まあ、ちょっと綺麗だけど・・・
それこそ今80歳の叔母が娘の時のものだから60年前とか、そのぐらい前のモノ。
プラチナで、いかにもっていうモノだったので、
リメイクしてもいい?って聞いたら、勿論ということで。
色々なところでリメイク出来ますって、謳ってはいるけど、大事なものだから、
あまり知らないところで、ポイって預けて、リメイクっていう気持ちには
全然なれなくって。たまたまマリッジリングの受け取りに行くタイミングだったので、
持ってきますという話になって。
漠然とイメージをお伝えして、
祐二さんもなんとなくこんな感じでどうですか?って話をしてくださって、
お願いすることになったんですけど。ちょっとスプーンみたいな形になっていてね。
森下 そうなんです。あまりにも大きくって、だからキューレットもすごく高くって、
そこで小島は、あのすごいダイアモンドからインスパイアされて、
それを汲んだスプーンみたいなものがすごく良いって多分思って、
彼はあのダイアを見た瞬間にこのデザインが頭に浮かんだんだと思うんです。
濱野 だから、大きいんだけど、それをさらに大きく見せようっていうことじゃなくって
森下 これみよがしは嫌なんですよね
濱野 そう。嫌だって申し上げて、ならむしろすごくさりげなく、落っこちそうで落っこちない、
こぼれそうでこぼれない、さりげない形で留まってる。というのが良いなって思って。
森下 少しもったいない気もするけれど、ダイア自身をあえてあんまり見せないような。
濱野 ジュエリー自体を特別な時だけにドーンって着けるようなモノとして考えてなく、
出来る限り日常で使いたい。
そういう意味では、スプーンの感じとかこのマットのゴールドって
いうのがすごい良くって。何度か作っていただきましたよね、サンプル的なもの。
森下 そうなんです、こういう極限にシンプルなデザインは難しいんです。
濱野 でしょうね。
森下 編集長のリクエストをすくい上げて美しい形に仕上げるのにやっぱり何度も作りなおし
濱野 途中で見せていただいたものも殆ど一緒ですけども、ちょっとしたカーブですとか、
その石の留め具合、いかにも留めてますって見えないところにこだわりがありましたね。
けれど、気づいたら(ダイアが)落ちてたっていうのは嫌だから(笑)
森下 覚えてます。よく覚えてます(笑)。石が落ちたらって考えただけでもゾっとする。。
だから、それは絶対に、絶対にやめて!って(笑)言いました。
濱野 すごい検討されたのだと思います。前からだけじゃなくて、360度、
どの角度で見ても、綺麗なんですよね。裏の、そのあかり取りの細工もすごく細かいですし、
中も、そうですね、やっぱりすごい好き!横からのカーブとかもすごく綺麗なんですよね。
で、ここが所謂スプーンみたいにキュッてなってなくって一体化してくるっと曲がってる。
本当に雫みたいですよね。ドロップ。
森下 これ、着けてらっしゃいますか?
濱野 着けてます、着けてます。で、金の亀、そう、私のラッキーチャームだから。一緒に。
森下 なくてはならない??
濱野 そう。