Professional*eyes

第一線で活躍している方に今感じていること、思考していること
などなどをインタビュー形式でお話いただくコーナーです。

第3回 昔ながらの手技を今に甦らせた『コットンパール』

—阿部さんのブランド『プティローブノアー』は、ネット販売から始まり、
現在はオリジナルも手がけていらっしゃるんですよね?

阿部
はい、最初は買い付けてきたものを販売していましたけれど、 徐々にオリジナルが広がっていて。

—オリジナルのなかでも(※)コットンパールは、カワイイですね。
(※コットンを丸く圧縮して、特殊な技法でパール加工をほどこした模造パールのこと)

阿部
ありがとうございます。
でも実はオリジナルなんて、最初は作る気はなかったんです……。

-えっ?(一同とまどい顔)

阿部
もともと、新しくものを作ることに抵抗があったんですよね。
ゴミを増やすだけになるんじゃないかと思って。

森下
(感動の面持ちで)ああぁ……この人はわかってる!

阿部
阿部好世さん 古いものが好きで、それだけで十分だと思っていたし、
今の新しいアクセサリーに興味がないので、
昔のきれいな造り、それを大切にしていたらいいんじゃないかと。
意味なくものを作るなんて、本当に意味のないことだと思っていました。

それが、人との出逢いによって変わったんです。
ジュエリーではなくて、アクセサリーを作っている
日本の職人さんと逢う機会があったんです。
聞けば、アクセサリーは特に安価な価格で競争する部分があるので
コストが見合わないので、安く作るために
職人さんの技術も必要とされなくなって。
それでだんだんインスタントなものになり、
今あるアクセサリーがつまらなくなってきたという……。
昔のようなきれいな造りのアクセサリーが作られなくなった
理由がわかってきたんです。

森下
そう、手間がかかるのよ、本当に。

阿部
そうなんです。その手間に見あうコストを払えて、
その技術を生かせるかどうかって、難しいことです。
「でも阿部さん、まだこういうのを作れる人が、高齢だけれどいるんだよ」っと人から聞いて。

発注する人がいないから、廃れようとしている昔ながらの手技。
一瞬だけのアクセサリーを求めていることを否定はしないですが、
そういう美しい日本の手技が、なくならなくても、いいんじゃないかと思って。

その後、職人さんが作ったものを見せてもらったとき、
「こういうものを応用していろんなものが作れるんだけれどね」
って言われたときに、この職人さんたちと作ってみたい!っと。
一緒に意味あるものが作れるんだったら、(オリジナルのモノづくりも)
無駄にならないなと思ったんです。

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