Professional*eyes

第一線で活躍している方に今感じていること、思考していること
などなどをインタビュー形式でお話いただくコーナーです。

第4回 きちんと良いものを作り、よいサイクルを生む

ーデザインする上で、つけてもらう人や身につけられるシーンを想像しながら作るんでしょうか?

阿部
うちのコスチュームジュエリーは、アクセサリーとしては
けっこう価格は高いんじゃないかな、と思うんですね。

—そんな、高い印象なんてありませんでしたが。

阿部
自分としては、職人さんにきちんとお支払いできる価格設定にしています。
値段が先にくるんじゃなくて、ものが形になる上での価格なんです。
なので、できるだけストーリーをわかってもらいつつ、
身につける喜びのあるものにしたいんです。
一時の流行ではなく長く使ってもらえるデザインのものを作って
持っていることが楽しく、着飾る喜びを味わえてもらえたらいいなあ。

森下
私の場合はまず自分が身につけたいもの
本当に自分が欲しいと思えるものを追求してカタチができてくるんです。
そうして出来たモノに一人でも二人でも共感してもらえたら、
後はもう(使い手の感性に)感激を与えられるようなことではないでしょうか。

ジィオデシックのファーストリングである〈マジョリング〉を
ある日デザイナーの男の子たちが見にきて、
「これって女の子がつけてもいいね」って言ったの。
メンズリングだと思っていたようで、そこにとってもびっくりしたのね。

バラの蔦みたいなブリエリングは、20代の男の子が小指につけたりするの。
そんなふうに想像を超える素敵なつけ方をしてくれるのは、
作り手冥利に尽きますし、こちらの方が刺激をいただいているような気がします。

阿部
本当にそうですねぇ。

-これらは、3月にジィオデシックから出る新作です。

阿部
目を輝かせて)わぁ、カワイイ。

森下
ありがとうございます。実はこの作品のテーマのきっかけを与えてくださったのは、作家の荒俣宏さんなんです。
うちの妹夫婦の仲人さんが、(『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な漫画家)
水木しげるさんで。その水木先生のお友だち関係に、荒俣さんがいらしたんです。

私は荒俣さんのすごいファンだったので、
妹にお願いして逢わせてもらったの。
そうしたら、すごっくお話が盛り上がっちゃって・・
その後に、荒俣さんから1枚の絵が届いて、
それが鳥の絵で、メモがないけれど、どうみてもすごーく古い原画!
すぐ荒俣さんのお家にご連絡したら、マネージャーでもある奥様が、
「あれは200年前の原画で、ナポレオンが遠征に連れていた専属絵師で、
ジャック・バラバンという人の絵」だって教えてくださったんです。

森や木とか葉っぱとかをモチーフにした今回の新作は、
そのバラバンの絵にインスパイヤーされて作ったシリーズなんです。

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