Professional*eyes

第一線で活躍している方に今感じていること、思考していること
などなどをインタビュー形式でお話いただくコーナーです。

第1回 国際的に認知される日本の美大作り

杉浦 幸子さん

石井 京都造形芸大でも教鞭を取ってらっしゃる名和晃平さんを初めとする
   若手のアーティストの活躍で、
   アートがぐっと若者の身近になってきていると思うのです。
   今日は、その若者がアートを学ぶ現場で活躍されている
   京都造形芸術大学の杉浦幸子さんにお話を伺います。

   こんにちは!お忙しいところをありがとうございます。
   いつもモリシタが親しくおつきあいさせて頂いているんですよね。

森下 本当にいつもお世話になっています!

杉浦 こちらこそ!

石井 杉浦さんはお茶の水女子大学で美術史を専攻され、ウェールズ大学の大学院を出られ、
   フリーでギャラリーエデュケイターをされて、武蔵美や女子美でも教えてらしたこともあったんですよね。

杉浦 はいそうです。
   それで、森美術館が出来るときにお話を頂いて
   パブリックプログラムのキュレイターをすることになりました。

森下 ちょうど六本木ヒルズが出来るとき、ジィオデシックもお話を頂いていたので
   もし実現していたら、もっと早くにお会いしてたかもしれませんね。

石井 現在のお仕事を教えて頂けますか?

杉浦 はい。造形芸大は7年目なんですが、現在のセクションは2年半。
   国際交流というグループのグループヘッドをしています。
   着任した頃の基本的なミッションは、学生を海外に送り出すということだったのですが
   最近、大事だと思うようになったことは、海外で大学の認知度を上げること、
   海外とのネットワークを作っていくことです。

石井 海外での京都造形芸術大学というブランドの確立ということでしょうか?

杉浦 はい、そうですね。日本では、だいぶ知られて来たと思うのですが、
   海外でももっとちゃんと知ってもらえるようにしたいと思ってます。

森下 例えば、ニューヨークのFIT(ファッション工科大学)とかロンドンのRCAとか。

杉浦 そうですね。RCA(ロンドン王立芸術学院/ロイヤルカレッジ・オブ・アート)
   MIT(マサチューセッツ工科大学)、ヘリット・リートフェルト・ アカデミー
   そしてKUAD(京都造形芸術大学)となるようにがんばりたいです。

石井 どの地域を一番のターゲットにしているとかはありますか?

杉浦 学生の希望が多い欧米も重要ですが、アジアを最重要に考えています。
   ECのアジア版、ACのようなものをイメージしています。

石井 アジアの留学生が多いですよね

杉浦 韓国の留学生が最も多いです。
   韓国はアジア通貨危機以降、世界に目を向けて、若い人たちがどんどん国外に出て行っています。
   国力も上がってますよね。

森下 日本のリードタイムが無くなって来ているのは事実だと思うのですが、
   さらに私達の若い頃よりずっと海外に出たいという子が減っていて
   ドメスティック指向になっていて、世界がグローバルになってるのに逆行してる日本って、、
   少し心配な気持ちになるくらいで、杉浦さんの仕事は本当に重要な仕事だと思ってるんです。

杉浦 私自身も最近やっとそれを実感できてきました。
   最初は手探りで、よく分からずやっていたところもありました。
   大学に来た当初は、「世界アーティストサミット」などのプロジェクトの実施が主で
   それらを成功させるのが仕事でした。そうした単発のプロジェクトだけでなく
   もっと継続性のある仕事として、2年半前くらいから、国際交流を担当するようになりました。
   それから、大学ってどんな機能があるんだろう?先生はどんな授業をしてるんだろう?
   ということに、もっと目が向くようになったんです。

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