Professional*eyes

第一線で活躍している方に今感じていること、思考していること
などなどをインタビュー形式でお話いただくコーナーです。

第1回 トレンドと傾向

阿部好世さんと森下まゆり ―本日はファッション雑誌、広告でご活躍されております酒井美方子さんにお越しいただいております。
―これからシーズンを迎える2010年の春夏ですが、コレクションを通してどんな傾向がありますか

酒井
毎シーズンコレクションのトレンドっていくつかあると思うのですが
その中で今年私が気になった大きなトレンドの一つは 解放感を表現する、
例えば風を感じる素材だったり色だったり・・・
そういう自由、リラックス、ハッピー感を表現したところですね。

あと、今年ちょっと新しいなというか、誇張されてきたなというのが
日本の若い女性たちが取り入れている、ちょっとかわいいモチーフ使い。
それが大人のコレクションブランドでも洗練されて使われていたなと。

たとえば、イチゴのプリントとかお花だったり猫や
鳥だったり。すごい分かりやすいキッチュでハッピーなモチーフが
プリントだったり、アクセサリーだったりに使われているのが目立ち
新鮮に感じました。

色でいうと、春夏なんで綺麗な色とかは出てくるのですが
今年特に目立ったのが、スキンベージュというかヌードカラーかな。
そういうのが綺麗で気持ち良く、すぐにでもトライしたいと思いました。

―春夏って綺麗な色が出ている中で、酒井さんはヌードカラーが気になったそうですが なぜですか?

酒井
色モノってその色が持つパワーっていうのがあるじゃないですか。
ヌードカラーっていうのは色が持つパワーっていうより
纏う人が持つパワーというか、その人の内面が前面に出てくるので
いまは洋服に目が行くというより人に目が行くというのが気分なのかもしれないです。

ちょっと話がはみ出ちゃうかもしれないのですが
私何枚も洋服買ったりしないんですよ。
そのなかであんまり主張しないヌードカラーだとジュエリーとか小物類で
全然異なる表情に変えられるじゃないですか
着まわしにとても便利で役立つんじゃないかなと思ったんです。

―例えば『黒』っていままでそういう使われ方したと思うのですが
今回のヌードカラーは新しい意味での新定番カラーみたいな位置づけとして捉われた
という事ですかね?

酒井
そうですね。そんな感じです。秋冬だと黒がベースになりますよね。
アクセサリーや小物でTPOに合わせて使えるので便利な色とされてるのですが
さすがに春夏だと黒は重いので・・逆に白だと仰々しくなってしまいますし
ヌードカラーだと個人的に取り入れやすいのかなと思ったんです。

―今シーズンの気になるヌードカラー、それを出しているデザイナーのコレクションの中には、
デザイナーのライフスタイルやバックグラウンドから発信される
ヌードカラーみたいなものって感じられましたか?

酒井
今年の春夏って女性デザイナーが注目されていて
例えば、クロエの後ちょっと仕事をお休みしていたフィービー・フィロが
セリーヌで復活してきたんですね。
あとステラ・マッカートニーとか。
私この二人が大好きなのですが、この人達はやっぱり生活がベースにあって・・・
ファッションだけじゃなく生きる事にエネルギーを注いでいるというか。
地球、自然の事を考えたり、インテリアや食事の事、オーガニックな食材の事
いろんなことを広い視野で見ている感じ。そういう人たちが作る洋服が深みがあって
気になるのですが・・・そのデザイナーたちがたまたま出していたヌードカラーと
デザイナーの気分がどうつながっているかは・・・ちょっと分からないですね。
気分的にはデトックスな感じなのかな?

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