おわりに寄せて (2001年12月)

森下まゆり


デザインの発想はどこから来るのですか?と聞かれることがあります。

私は本当に小さいときから絵を書くことが大好きで、

暇があれば、ずっと絵を描いていました。

だから、今でも、その延長上で、紙に向かうと自然と手が動いて、

いつのまにか、自分でも『素敵だな〜』なんて思える指輪の絵が出来あがっているのです。

対照的に祐二は、きっかけは、第六感を感じるように発想はしているけれど、

沢山の知識の引出しからピックアップして来て、それを具現化しています。

私からすると、それはとても理屈っぽく感じるのです。

それでも、出来あがった物が、物以上に語るのを間近に見ていると、いつの間にか、

理屈の有り無し関係無く、人を感動されられるものは、

『ちから(魂)』なのだと思うようになりました。

今回のゾディアックを七宝で作る事にしたのをきっかけに、

祐二に十二星座の物語を書いて欲しいとリクエストしたのは私です。

初めに書いてくれた彼の文章は、

いつも簡単な言葉の中で生きている私にとっては、とっても難しいものでした。

日常使う言葉が違うと言う事は、頭の中がまるで違うと言うことの、

それ以上無い証だと思うのですが、ジィオデシックのお客様の中には、

その私からすると難しい、祐二の興味の対象と同じような

哲学的な造詣の深い方々が数多くいらっしゃる事が、とても驚きでした。

しかも

その方たちの中には初めてジュエリーを着けたという方も少なく無いのです。

ただ、私のように、難しい言葉が苦手な上に知識も乏しい人間だっているんだから、と、

そういう時は強気に出れるので、再度、もっと優しい言葉で書いてね、とお願いしました。

すると、ゲクランが夢の中で星座の旅をする話が出来ていました。

ゲクランが来てから、私達の生活はとても変わりました。

毎日散歩に行くなんて、ずっと、ずっと忘れていたことでした。

学生時代、よく国立の大学通りをふたりで散歩した事を思い出しました。

歩きながら、季節を感じる楽しみをゲクランは思い出させてくれました。

使う言葉の難度は違っても、その楽しい気分は、きっと祐二も同じなんでしょう。

こんなに可愛いお話を書いてくれたのだから。

ただ、ギリシャ神話を知らないと、

「ゲクランお父さんに聞いただろう〜」って言われても、困っちゃうんですけれど。

 

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