第五夜

しし座 ― ライオンはごろごろいえない

登場人物ライオン、ぼく、お母さん、ベルク、ライオンの子供達、サバンナの動物達


きょうは一日中夜になっても雨で外には出してもらえませんでした。トイレはマットの上でします。はずさずに真ん中にきちんとやると、お母さんが

― ゲクラン、じょうず、じょうず。とほめてくれます。こんな日にはしかたがないので、家の中でのボール持って来い遊びや引張りっこ遊びとか、添い寝遊びとかを何回もやります。ぼくは添い寝遊びが好きじゃないので、椅子とか机の脚をカジカジすると、おもちゃやお菓子をもらえます。

そんな日はお父さんにお腹をなでなでしてもらっても、なかなか寝付けません。こんやはライオンさんに会いに行くし・・・・。

バウバウの木下でライオンさんの家族がお昼寝をしてました。

― こ・こんにちはライオンさん。ぼくは一番大きなライオンさんに言いました。

― 眠いんだ、起こすのはだれだ。

― ぼ・ぼくはゲクランです、八ヶ月のボルゾイです。お話に来ました。

― いやだ、眠いんだ。― お父さんもときどき昼寝します。きのうはてつやだったんですか。

― 腹が減っているんだ。起きるとお前を食うぞ。と言うとネギの穂みたいな尾っぽをピシッパシィと振りました。

― ぼくはレオンベルガーのベルクが、ライオンさんに似てるかどうか確かめに来ました。

― いやだ。起きると体力を消耗してもっと腹が減るじゃないか。

― ご飯ならお母さんに言ってもらってきます。

― うるさいなぁ、じゃ、質問に答えられたら起きてもいいぞ。― 質問は何ですか?。

― 最初は四足、次は2本足、そして3本足これは何だ。― それは人間です。最近は手押し車を押しているおばあちゃんもいます。

― しょうがないな、ご飯をもらって来てくれよ。と言うとライオンさんは起きてくれました。

― うあぁっ、ベルクに似てる。― 反対だ、奴が俺を真似したんだ。

― ねぇ、ねぇ、体をプルプルしてたてがみを振ってみせて。― いやだ。腹が減る。

― じゃあ、こんどはぼくが質問するよ。答えられなかつたらやってくれる?。― なんだ!。

ぼくはお父さんに教えてもらった、クレタ島の『嘘吐きか、否か』の問題をだしました。

ライオンさんはヴィデオの最初でやるように、首を大きく回しながら ― ガルルガゥオォー。と体をゆすってくれました。

首の周りのたてがみと背中のつむじがふくらみました。

― うあぁ〜、す・すごい、かっ・かっこいい!。

― あぁ〜、ふあぁ〜、疲れた。と言うとライオンさんは横になってしまいました。

― ねぇ、ねぇ、こんどはお姉ちゃんみたいに舐めたら、お腹を出してゴロゴロ言ってくれる。

― いやだ。― こんどは起きないからお腹すかないよ。

― いやだ、ぜ・ぜったいいやだ。おれは百獣の王だぞ。

― また質問してもいい。― うぅん、な・なんだ?。

こんどは『嘘吐き村』の問題を出しました。

― 一本道が2つに分かれてそれぞれ正直しか言えない正直者の村と、嘘しか言えない嘘つき者の村とに続きます、その別れる所にどちらの村かわからない人が一人いました。どっちの方が正直村か知らないぼくは、1回の質問で無事正直村に行くことができました。さぁ〜て、なんて言ったでしょうか?。

― うぅ〜ん、・・・・・。うぅ〜ん・・・・・。― はぁ〜い、時間切れ〜。ペロペロペロ。

― ガロロロォ〜、ゴロロォ〜。― ああっ、ライオンさん、お姉ちゃんみたいにゴロゴロ言えないんだ!。

― おれはみんなが怖がる百獣の王だぞォ〜、ゴルルゥ〜。

― お父さん、なにしてんの?。とライオンさんの子供たちが起きてきました。

― なんでもない。お客さんだ。そこいらを一緒に走っておれ。

― うあぁははぁ、なんなのこの子、シカ?、アリクイ?。

ぼくたちはサバンナの中を駆け回りました。キリンさんやゾウさんやシマウマさんたちがいました。

 

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